今の仕事が辛い。でも、いきなり転職する勇気まではない。

いつか異動辞令が出て、勝手に環境が変わればいいのに…

そんな風に、「待ち」の姿勢で、消耗する毎日を送っていませんか?

結論から言うと、待っていてもその「いつか」は来ません。私も待ち続けましたが、結局、状況を変えられるのは自分だけでした。

この記事では、私がなぜ「待ちの姿勢」を捨てて社内公募という選択をしたのか、10年間積み上げたキャリアを手放す決断の裏側にあった思考プロセスを率直に綴ります。

※本記事は、JTC脱出の裏ルートを解説する「社内公募シリーズ」の第2回です。シリーズの全体像やメリット・デメリットについては、まず【第1回:まとめ編】をご覧ください。

AI時代と理不尽なJTC。「現状維持」という最悪のリスク

コーディング漬けの日々に感じていた虚無感と現状維持

私の話を書きます。

私はキャリアチェンジする前はシステムエンジニアの仕事を約10年間していました。10年間も同じ会社で働いていましたが、順風満帆では全くなかったです。

  • 職場での人間関係の悪化
  • そもそもシステムエンジニアをやりたくない

といった問題を抱えていて、自分のキャリアに行き詰まりを感じていました。

しかし、こういう状態でもなぜか自分から動こうとせず現状維持が続いていました。

振り返ってみても、このときの職場に留まる理由は何もありませんでした。

非常によくないのですが、

  • 他人任せ:関係が悪くなった上司が人事に働きかけて異動になるのでは?
  • 成り行き任せ:人員調整等で人事から異動命令がそのうち来るのでは?

という期待を勝手に持って、自分からは動かずに「何か」が起こって状況が変わることを待っていました。ただ、その何かが起こることはありませんでした。

そもそも上司は部下のキャリアに興味がありません。期待するのは間違いであり、そのことは以下の記事で解説しています。

また、「会社員は転勤がつきもの」とよく言われますので、上司が動かなくても人員調整による異動はありうるのではないかとも考えていました。ただ、私の場合はこれもなかったです。そもそも約10年この職場にいましたが、会社命令で異動になった人は数えるほどでした。

にも拘わらず、「まさか」を期待していたんですよね。目の前の現実に向き合っていなかったです。

いずれの場合でも、「誰かが何とかするだろう」という他責思考になっているんですよね。自分の命運を他者に委ねてしまっている。そして、上手くいかなかったときは「上司が悪い」、「会社が悪い」。

主体性が無く、まるで子供のように感じます。

この時は、完全に他責思考で、現状維持の沼に沈んでいました。

追い討ちをかける「AI時代の到来」。レールの先は崖だった

最近のAIの進歩はすさまじいですね。AIの進歩によって大量失業すると言われている筆頭がシステムエンジニアです。私がシステムエンジニアをしていた間にもAIが出てきて、実際に使ってみると当時でも簡単なコードは一瞬で出力できていました。

直感的には、人間がAIに勝つのは不可能な領域ではないかと思います。今後システムエンジニアは必要なくなるんじゃないかと感じました。

このままシステムエンジニアを続けていると

  • 持っているシステムエンジニアのスキルが役に立たなくなり失業する
  • 年齢を重ねて異動、転職が難しくなる

という理由で、より「じり貧」になっていくという不安がありました。

会社を変えずに環境を変える。「社内公募」という裏技

今の職場環境から出る方法として、通常の社外転職と社内公募による異動の2つがあります。この中で私が社内公募による異動を選んだ理由は、大きく3つありました。

  • 要件が緩い求人があったこと
  • 給料が据え置きになり、FIRE計画を崩さずに済むこと
  • 万が一合わなくても、後から社外転職というカードを使えること

1つ目の理由が一番大きく、そもそも私がシステムエンジニアという仕事自体をやりたくなかったことに起因します。

通常の社外転職の場合、これまでのキャリアで培ったスキル、経験が軸になります。そのため、私の場合はこれまでシステムエンジニアとしてやってきたため、システムエンジニアの求人を勧められました。

ところが私はシステムエンジニアをやりたくなかったため、プログラミング等のスキルが無いものとして探していました。そのため、転職エージェントが勧めてくれる求人の要件は中々満たしませんでした。

ちなみに、当時はシステムエンジニアの求人はたくさんあり転職エージェントも勧めてくれたのですが、「システムエンジニアをやらない」という意志はかなり固かったのですべてスルーしました。

その点、社内公募には「経験不問」といった要件が緩い求人も混ざっており、まさに未経験の自分でも対象になる貴重な選択肢でした。

2つ目の理由も大きかったです。社外転職でキャリアチェンジすると未経験扱いになり、下手をすると新卒並みの給料水準に戻ってしまいます。

入社約10年目というタイミングであったのとFIREという目標が念頭にあったため、それは正直抵抗がありました。そのため、給料を維持しながらキャリアチェンジできる社内公募は、当時の自分にとって最も合理的な選択でした。

給料が据え置きというのは、異動するのに背中を押してくれる感覚がありました。「やってみようかな」という気になってきます。会社側からしたら一人前のアウトプットが得られないリスクもあるのに、太っ腹な気もします。

【社内転職では給料が下がらない理由】

社内公募による異動の場合、基本的に同じ業界かつ同じ職種のポジションはないはずです。そのポジションは今のポジションに他ならないからです。

そのため、必然的に「やったことがないことにチャレンジする」という形になるため、成果を出しにくい状況になるはずです。そのままだと、社員が社内公募の利用に消極的になってしまうため、利用を後押しするためにこのようになっているのではと推測します。

3つ目については、いきなり社外転職して「合わない」となった場合、再挑戦のハードルが上がってしまうという不安があったため、まずはリスクの低い社内公募で試すという意味合いもありました。

社内公募という制度そのものの詳しい仕組みやメリットについては、こちらの記事にまとめています。

キャリアの「損切り」を決断するマインドセット

前述のとおり、私は前職ではシステムエンジニアをしていましたが、社内公募を利用して全く異なる職種であるハードウェアエンジニアにキャリアチェンジしました。

普通の転職の場合は、会社は変わるが職種は同じというパターンが多いと思います。要はこれまでやってきた仕事と同じか近い仕事を別の会社でやるわけです。一方で、私の場合は会社は同じでやる仕事が全く別になりました。結構珍しいキャリアではないかと思います。

次のような感じです。

項目私の場合通常の転職
会社同じ異なる
職種異なる同じ
業界異なる同じ

この決断をするのに色々考えましたし、実際にキャリアチェンジした後には良いこと、悪いこと両方とも経験しました。

これまでのシステムエンジニアとしての10年間のキャリアを完全に捨てる決断でした。

10年間のキャリア(サンクコスト)を捨てる恐怖の乗り越え方

当初、私の選択肢としては

  • システムエンジニアとして仕事を続ける
  • 別の職種にチャレンジする

の2パターンありました。

【①システムエンジニアとして仕事を続ける】

AIの進歩によりシステムエンジニアという職種が無くなるかもしれないという状況ですが、私の場合はそもそも

  • システムエンジニアという仕事が好きではない

という特殊事情がありました。そのため、頑張っても将来があるかわからず、しかも好きでもない仕事のために勉強を続けるのは正直選択肢としては厳しかったです。

【②別の職種にチャレンジする】

消去法で別の職種にチャレンジすることを選ぶことになるのですが、普通の感覚だと10年以上積み上げたキャリアを捨てるのはもったいないと感じると思います。私もそうでした。

最初は何とかこれまで積み上げてきたスキルが生かせるように、システムエンジニアを軸として

  • 別業界の製品のソフトウェア開発
  • ソフトウェアが売りである製品の技術営業

などのポジションを検討しました。そして、実際に転職エージェントに登録して面接を受けたりもしましたが、やはりやりたくないことを軸にすると全然ピンとこなかったです。良さそうなところを無理やり見つけて、なんとか理由を付けて自分を納得させようとしている感じでした。

それに、面接のため実際に企業に行って面接担当者とも話しましたが、その職場で自分が充実した毎日を送っているイメージが全く湧かなかったです。

よそ者感、場違い感のようなものがありました。事業の説明を聞いても、「よし、やるぞ!」という気持ちに全くならなかったですね。転職活動している間はずっとこのしっくりこない感覚でした。

この状態で数年くらい悶々としていたと思います。そして、何年も悩んで、実際に転職活動もして、その上で先が見通せなかったので、「システムエンジニアを軸にキャリアを考えていくのは自分にとっては正解ではない」と結論付けました。

10年分のキャリアなのでもったいない気持ちは実はいまだにありますが、やりたくもない仕事である以上そのキャリアに価値はないです。決断の足を引っ張るのであれば、もはや負債です。よって、サンクコストとして完全に捨てて、別の職種にチャレンジする決断をしました。

これにプラスしてAIの進歩でシステムエンジニアの職が無くなる可能性もあるため、なおのこと捨てる決断は正しかったと思っています。

社内公募でも転職でも、「動く」決断は1日でも早い方がいい理由

決断するまでに数年間は悩みましたが、それ自体は自分と向き合う時間が取れたとポジティブに考えることもできるとは思います。

実際キャリアについてはかなり悩みました。

ただ、この悶々としている時間はやはりもったいなかったかなと今は思っています。早く決断した方が新しい職種でのキャリアを少しでも若いうちから長く積むことができるので有利になるからです。

また、この問題の性質上長く悩めば悩むほどシステムエンジニアとしてのスキルが積み上がっていき、ますます捨てたくないとなってしまいます。決断する際には、より強い迷いや不安が生じることになります。

たらればの話をしても仕方ないですが、もしタイムマシンで当時の自分に話すことができたら、「すぐに動け!」と言うと思います。

決断を鈍らせない!水面下で動くための「相談相手」の選び方

同僚への相談はNG!「キャリア相談室」や社外の友人を選ぶ理由

ここはよくよく考えた方がいいです。社内公募による異動、社外転職問わず、部署から出ようとしていることが知られるとろくなことがないです。

よく聞く話ですが、日本の会社では職場の「仲間意識」が強いです。もし出ようとしている人がいれば、周りから冷遇されます。例えば、

  • 若手の場合、「出ていくのなら教える意味がない」となり教えてくれなくなる
  • 「途中でやめるかもしれない人間には任せられない」となり、十分こなせる実力はあるのに大きな仕事が振られなくなり、考課が上がらなくなる

といったことが起こりかねないです。というより、自分の経験を振り返って想像するに、普通に起こると思います。

コンプラ的に問題がありそうですが、判断の際にはコンプラよりも「仕事を任せた後に退職されると困る」という実害に、よりウェートが置かれると思います。

そうなると、その職場では「詰んだ」状態になってしまいます。追い詰められた状況になると、社内公募による異動や社外転職について考える余裕自体がなくなる恐れがあります。

【実体験】会社のキャリア相談室で客観的な意見をもらう

そうはいったものの、だれにも頼らず一人で考えていても中々前に進みません。そもそも、転職を考えるような苦しい状況に陥った時は、判断力が鈍っている可能性があります。こうしたときは、誰かに話して客観的な意見をもらいたいところです。

相談相手の候補としては、

  • 社外の知り合い
  • 会社のキャリア相談室

が良いと思います。私はキャリア相談室に相談しました。

キャリア相談室はある程度以上大きい会社にはあるのではと思います。

私の会社のキャリア相談室の場合はオンラインで相談できて、これまでのキャリアの棚卸や今後のキャリアについて相談できました。私はテレワークをメインにしていましたので、職場の人に知られずに相談できました。

どんな感じだったか、以下にまとめます。

  • 1回あたり1時間程度。
  • 思考の整理のため、次回までの課題が出ることがある。
  • 次の面談までの間は1~3週間くらい。
  • 参考になる本を薦めてもらえる。
  • (キャリアカウンセラーが言うには)人によって異なるが、2~5回くらい面談する。
  • (キャリアカウンセラーが言うには)連絡もなく途中から面談に来なくなる人がいる。

途中から来なくなる人がいるというのは驚きでした。カウンセラーとの相性もあるかと思いますが、余裕がなくなっていた可能性もあるのではと推測します。

キャリアコンサルタントは国家資格にもなっていますので、自分だけで考えるより得られるものはだいぶ多いと思います。異動、転職問わず、自分のキャリア人生がかかっていると言えるので、キャリアカウンセラーに相談して丁寧に意思決定していくのが良いと思います。

私は相談してよかったと思います。思考を整理する手助けになりました。ダメ出しとかもなかったです。

まずは、自分の会社にもキャリア相談の窓口があるか確認してみるのが良いと思います。

自分の人生の主導権は自分で握る(主体性の回復)

この長い現状維持の後、社内公募によりご縁があった部署に異動することになり、ハードウェアエンジニアとしてのキャリアをスタートしました。このようにして、何とか一番苦しい時期は切り抜けられました。

自分で気づくのに時間がかかりましたが、キャリアの損切りを経てたどり着いた答え。それは自分の人生の主導権を握るのは他ならない自分ということです。主体性を持って自分から動くことこそが唯一の生存戦略になります。

まとめ

  • 「いつか異動できる」という会社への期待(待ちの姿勢)は今すぐ捨てる
  • 過去のキャリア(サンクコスト)に縛られず、環境のリセットを選択肢に入れる
  • 動くも残るも、自分のキャリアの主導権は自分の手で握り直す

社内転職を決断するにあたって考慮したい点を中心に整理しました。考えることがたくさんあり中々踏み切れない人も多いと思います。ですが、まずは

  • 社内公募の求人一覧を眺めてみる
  • エージェントに登録して自分の市場価値を知る

だけでも景色は変わります。ぜひ現状を変える第一歩を踏み出し、前向きにキャリアを歩んでいただければと思います。

では、理不尽なJTCの環境で、上司や同僚に一切悟られることなく「水面下」でキャリアの主導権を握るにはどうすればいいのか。私が未経験のポジションを勝ち取った具体的な「ノーリスクな立ち回りと審査の裏側」については、続く実践編で全て公開しています。

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