同期が次々と課長に昇進していくのに、自分は声がかからない…

社内政治や根回しが苦手で、この先出世できる気がしない…

そんな風に悩んでいませんか?

前回の記事「【JTCの出世競争 Vol.1】「出世する人」の異常な特徴3選。出世できないと悟った時の生存戦略」では、JTCで出世していく個人の特徴について解説しました。

今回は視点を変えて、「誰を引き上げるか」を決める引き上げる側(部長陣)のリアルな裏事情について深掘りします。

結論から言えば、JTCでの出世に必要なのは単なる社内の知り合いの多さ(人脈)ではありません。社内評判、つまり上層部の耳にあなたの良い噂が「聞こえてくる」かどうかです。

今回はそのメカニズムと、出世のゲームから降りるべき人の見極め方について解説します。

JTCの大企業で出世できない理由は「社内人脈」ではなく「社内評判」の不足

JTCで働いていると、社員は基本的にリスクを取りたがらないという空気を強く感じます。

これは昇進の判断でも同じです。ある人物を、たとえば課長に上げるかどうかを判断する際、決裁者はまず「リスクがないか」を慎重に考えます。もし自分がその昇進に賛成し、その後本人が何か問題を起こせば、賛成した自分の評判にも傷がつきかねないからです。

そのため決裁者は、何らかの形で「推薦しても大丈夫」という証拠を欲しがります。その証拠として使われるのが、他者からの評判です。

課長昇進を左右する社内政治のリアル:「良い評判」はどこから聞こえてくるのか?

出世させるかどうかを判断するのは、部長や部門長クラスの人たちです。こうした人たちは、自分が所属する部門だけでなく、他部門や他事業所の人ともつながりを持っています。

【上層部の「横のつながり」が生まれる背景】

  • 組織変更や部門新設にともなう異動・転勤
  • 幹部候補(優秀な人材)の意図的なジョブローテーション
  • 入社10年、20年と続く「同期」の強いネットワーク

そのため、一見すると事業部門が異なる人同士は無関係に見えても、案外遠い部署にもつながりが残っていたりします。つまり、上の役職の人たちの間には、想像以上に横のつながりがあるのです。

JTCという村社会では、まさに「誰がどこでつながっているかわからない」のがリアルです。

例えば、過去にあなたの実績を評価してくれた「元上司」が他部門へ異動し、巡り巡って「今の部門の決裁者」と関わったとします。その際、ふとした雑談の中でこんな会話が交わされるかもしれません。

元上司

そういえば今の君の部署にいるA君、昔私が上司だったんだけど、すごく優秀なんだよ。

このように、見えないところから「あいつは優秀だよ」と評判が伝わってくるようなルートが存在するのです。

また、JTCは欧米の企業と比較して人材の流動性が低く、転職が一般的ではありません。そのため、こうした評判はリセットされることなく年月をかけて社内にどんどん積み重なり、その人の人物像がより確固としたものになっていきます。

以前、たまたまそうした立場の人と飲み会で同席したときに聞いた話です。その人は、ある中堅どころの社員に対して、こう言っていました。

とある部門の部長

お前はまだ聞こえてこないんだよな。もっと実績を作らないと。

つまり上にいる人たちは、この横のつながりを使って、優秀な人物についての情報交換を日常的に行っているわけです。そもそも優秀な社員がいれば、上司や同僚は他の人にその話をしたくなるものです。

そうして良い評判が横方向にどんどん広がっていき、ある社員について十分な評判が耳に入ってくるようになると、「この人なら推しても安心だ」と判断できるようになります。

【ここで整理しておきたいポイント】

単純に社内人脈がある(自分が社内に知り合いが多い)こと自体は重要ではありません。

重要なのは、「その知り合いに、自分の良い評判を流してもらえるかどうか」です。

どれだけ知り合いが多くても、誰もあなたの実績や人柄を良い形で語ってくれないなら、出世競争においてはほとんど意味を持ちません。

出世ルートに乗るために、自分の「良い評判」を上層部に流してもらう2つの条件

ここまでの話を前提にすると、やるべきことは大きく2つに整理できます。

条件1:社内で語られる「実績」を作ること

実績がなければ、そもそも流す評判のネタがありません。どれだけ人当たりが良くても、語られる中身がなければ評判は広がっていきません。例えば、

  • 社内的に注目度の高いプロジェクトを主導した
  • 売り上げに大きく貢献する製品の開発に成功した

というような、社内の誰もが「すごい」と感じるような実績があると広まりやすいと思います。

大企業であればこういったチャンスは少なくはないと思います。また、ある程度スケールの大きな話でないと話のネタに食い込めないと思います。

条件2:一次情報の発信元である「直属の上司」と良好な関係を築く

最低でも、仲が悪くならないことです。仲が良くなければ、上司はわざわざあなたの話を他部門の人にまで持ち出したりしません。逆に仲が良いと、上司はその部下のことを自分事のように自慢したいと思い、話したがるようになります。実績があっても、それを語ってくれる人がいなければ、評判として流通していかないのです。

私はINTJということもあり、人付き合いが苦手です。そのため、この条件2を満たすのはなかなか難しいと感じています。

決裁者となる部長や部門長は他部門から届く評判も参考にしますが、なかでも重みを持つのは直属の上司の意見です。日々の仕事ぶりや人間性をもっとも近くで見ている、一次情報の発信元であるからです。そうは言っても、過去の上司がわざわざ周囲に話して回ってくるほどの良い評判には、決して軽くない意味があります。

決裁者は、この一次情報(直属の上司の評価)と、見えないネットワークから聞こえてくる評判(第三者の評価)が一致したときに、初めてリスクなく昇進のハンコを押すことができます。

【今の部署・上司のもとで「詰んでいる」と感じたら】

「今の環境では実績を作るチャンスがない」「すでに直属の上司との関係が悪化してしまっている」という場合、同じ部署で挽回を試みるのは非効率です。上司に知られずノーリスクで環境を変える「社内公募」の立ち回り方については、以下の記事で詳しく解説しています。

社内政治に疲れたら?出世競争から降りる「生存戦略」

条件1、2のどちらか一方でも満たせないと感じた場合、思い切って「出世をあきらめる」のも一つの手です。

管理職として出世していく道ではなく、別の道を模索します。これは前回の記事でも触れた、出世できないと悟った後の生存戦略と直結する話です。

私自身は管理職ルートを降り、投資による資産形成(FIRE)という別の道で自由を目指しています。

なお、条件2を満たすために上司に媚びを売るという一案もあります。ただし、それを自然にできるかどうかの見極めは必要です。何年も、時には何十年もその振る舞いを演じ続けるのは現実的ではありません。向き不向きを冷静に見極めることが重要です。

【上司への「媚び」に疲弊している方へ】

上司との人間関係に悩んだり、「自分には社内政治は向いていない…」と感じているのは、決してあなたのせいではありません。JTCの組織構造上、管理職が必然的に「腐敗」してしまう残酷な理由について、以下の記事で解説しています。

まとめ:ゲームのルールを知り、降りる勇気を持つ

JTCの出世とは、決裁者の「リスク回避心理」と、長い年月をかけて蓄積・共有される「評判(聞こえてくるか)」によって決まります。

このメカニズムを理解した上で、「自分はその出世ゲームを勝ち抜ける性格なのか?」を冷静に見極めてみてください。自分を偽って何十年も演じ続けるくらいなら、早めに管理職ルートを諦めて別の道を模索するのも立派な生存戦略です。

「では、出世をあきらめると悟った後、具体的にどう立ち回ればいいのか?」

その具体的な生存戦略については、前回の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。