前回の「水面下での立ち回り」で解説した通り、社内公募は現職場に知られずに応募できる制度です。ただ、実際に合格を勝ち取るには、応募先の求人選びやエントリーシートの書き方に戦略が必要になります。

ここでは、未経験からどうやって合格をもぎ取ったか、私自身の実体験(1回目の不合格、2回目の合格)を交えて具体的に解説します。

※本記事は、JTC脱出の裏ルートを解説する「社内公募シリーズ」の第4回です。シリーズの全体像やメリット・デメリットについては、まず【第1回:まとめ編】をご覧ください。

未経験から合格をもぎ取るES・面接戦略

未経験OKを探す!社内公募の「求人要件」の読み解き方

求人の種類については技術系・事務系ともに幅広い求人があり、中にはグループ会社や海外勤務の求人も含まれています。

はじめて見たときは選択肢の多さに驚いたというのが率直な感想です。

また、募集要件を見ると

  • 同じ職種の経験○年以上
  • ソフトウェア「××」の使用経験あり。

といった感じで、未経験は対象外の求人が多かったりします。人手不足のため人材を育てている時間も惜しく、すでにスキルを身に付けた即戦力が欲しいわけです。

そんな中でも、

  • 経験不問
  • 大学の理系学部卒

くらいの要件が緩めの求人もありました。

キャリアチェンジする場合は、どうしても経験年数で引っ掛かります。そのため、このように間口を広げてくれている求人は貴重です。それに、もし社外転職で未経験職種だと新人相当の給料になってもおかしくないので、給料据え置きで未経験職種にキャリアチェンジできるのは社内公募ならではだと思います。

制度を利用する上で、非常に重要なポイントがあります。「応募は一度に1求人まで」です。そのため、一か八か複数求人にエントリーシートを出してみて、受かったところから選ぶという戦略は使えません。

闇雲に応募するのではなく求人をよく吟味してほしいという狙いがあるようです。

社内ポータルに最新の求人が掲示されたら、1~2週間後の応募期限までに目を通して応募したい求人を1つに絞ります。

「火中の栗」を拾う。あえて人が抜けている部署を狙う生存戦略

応募するポジションを選ぶ際は、興味があるポジションを選ぶことが最も重要です。その上で、あえて人が抜けている部署を選ぶというのも1つの戦略かもしれません。

人が抜けているかの判断は難しいですが、噂だったり、募集要項の構成員欄、どのくらいの期間募集を出し続けているかといった辺りから推察します。

人手不足で職場から人がどんどん抜けているというのをよく聞きます。人が減ると雰囲気も悪くなり、仕事もこなしきれなくなります。社内公募でも当然こういうポジションが混ざっています。

一般論で言うとこういった「地雷」ポジションは避けた方がいいはずです。ただ、人が減ると一人ひとりの重要性が高まります。特に、キャリアチェンジで未経験職種に挑戦する場合は少しでも存在価値を上げたいので、このことは逆にチャンスととらえることもできます。

  • これ以上辞められると困るため、気を使ってくる
  • 早く戦力にしたいため、出し惜しみなく教える

といった感じで、スタート時点ではプラスに働くはずです。異動後、人数が少ないうちにスキルを伸ばすというのも1つの生存戦略です。あえて「火中の栗を拾う」ような選択もいいかもしれません。

社内公募による異動の場合は中途半端に社歴があるため、本来は新卒のような手厚い教育は期待できません。私の場合、異動後の部署は人がどんどん辞めていく部署でしたが、こういうプラス面は実際にあったと感じました。

スキル不足を補う!募集要件に合わせた社内公募用ESの書き方

まずはエントリーシートを提出しないと始まりません。私は合計2回応募したため、2回エントリーシートを書いています。結果は、1回目はエントリーシートで落ちて、2回目はエントリーシートで合格、面接でも合格して異動に成功しています。

エントリーシートで落ちる可能性は確かにあります。ただ、正直あまり気にしすぎなくてもいいのではないかと思います。そもそも就活等で同じ会社の選考をパスして社員になっていますので、大きな問題はない人物のはずです。

募集要項を読んで、

  • 募集要件を満たしていること。
  • モチベーションが高いこと。

あたりを書いておけばエントリーシートで落ちることはあまりないのではないかと思います。

エントリーシートの時点では、そのくらいしか判断する要素が無い気がします。

そうは言うものの私は1回目は落ちています。振り返ると、募集要件にあまりマッチしていないことが原因だったと思います。応募した理由は、その部署で製造している製品がちょっと独特で技術的に面白そうと思ったからでした。

システムエンジニアのスキルは何も生かせそうになかったですが、面白そうかどうかという観点だけで選びました。

仕事内容が若干営業っぽく、「製品についてお客さんに説明する」みたいに書いていたと思います。これまで、システムエンジニアでソフトウェア開発をしていたので営業の要素は皆無です。

応募理由の欄には「システムエンジニアで培った論理的思考力を生かして、お客さんにわかりやすく説明します。」のようなゴリ押しのような理由を書いたのですが、「募集している内容と合わないようです。」のような回答があり見送りの結果になりました。エントリーシートの段階なのでこれ以上できることは無く、この時はこれで終わってしまいました。

今振り返ると熱意だけで押し切ろうとする形でしたね。ちなみに、この時点までは人事としかやり取りしていません。見送りの理由も、人事が求人部署の回答を数行コピペしてメールで送ってくれただけです。

【募集要件を満たしていない場合は、応募をあきらめるしかないか?】

要件を満たさなくても何か特別な思いがあれば、試しにエントリーシートを出してもいいとは思います。エントリーシートには、募集要件を満たしているか(Yes/Noで回答する)を確認する欄がありますが、そこもYesにしてしまいます。

例えば、

  • 同じ職種の経験3年以上

という要件があった場合、もし実際の経験年数が2年であれば面接の場で「頑張って足りない1年分は追いついて見せます!」のように意気込みを見せて説得すれば、合格できるかもしれません。募集する側も人が集まらなければ妥協するはずなので、試す価値はあると思います。

もし不安ならエントリーシートを出す前に人事経由で聞いてみてもいいと思います。

ちなみに、私の場合は完全なキャリアチェンジで本当に0年なわけで、さすがに数年分を簡単に巻き返すのはできないだろうと思いました。そのため、○年以上と書いている求人はすべてスルーせざるをえず、要件が緩い求人に絞るしかありませんでした。

面接のリアル:地雷部署を見抜く「逆質問」のテクニック

エントリーシートをパスした後は、面接になります。社内公募では面接は1回なので、この1回の面接をパスすれば異動が可能になります。面接の日程については、人事とメールでやり取りし決めていきます。

  • 面接は原則オンラインで行う。
  • 面接時間は1時間。
  • 休日や平日の夜遅くまで設定可能

現職での業務中に行うと上司や同僚にばれてしまう可能性があるため、このように残業帯や休日にも設定できるようになっています。

私は前職ではテレワークができていたためバレる心配は少なく、自宅で夕方ごろに実施しました。

実際の面接の様子を説明します。

面接の参加者は私以外は4人でした。

  • 応募先の部署の課長(上司になる人)
  • 応募先の部署の部長
  • 別の部署の部長
  • 担当の人事

オンライン面談で私は5分前に入ったのですが、他の人たちは全員時間ちょうどに入ってきました。最初は誰も来なくて焦りました(笑)。

最初に参加者全員が一言ずつ挨拶をしました。次に課長から、部署で担当している製品や業務内容について説明がありました。また、前職がシステムエンジニアで主にテレワーク勤務であったため、異動するとテレワークがほとんどできなくなるという説明を受けたりしました。

その後はいくつか質問されたり、こちらから質問して終了しました。

どういう質問をされたかは正直あまり覚えていませんが、 エントリーシートに書いていることを改めて聞かれたと思います。

また、こちらからも質問ができますので、疑問があれば解消しておくのがいいと思います。私もいくつか質問して、例えば、

「メンバー間の風通しはいいですか?」

課長

「私が言うのも何ですが、良いと思います。」

というやりとりをしたのは覚えています。入ってからわかったのですが、実際の雰囲気は面接で事前に聞いていた話とはかなり印象が違いました。

楽しい雰囲気で仕事ができると期待していたのですが。思い返すと、苦笑いしながら答えていた気がします。こういう「聞いていた話と現場の実態にギャップがある」ポジションも紛れてますよね。(笑)

職場の雰囲気は大事なので、この経験を踏まえると以下のようなことを質問しておくのがいいのではないかと考えます。

  • ここ数年で退職や社内公募で異動したメンバーはいますか。
  • 現時点で退職予定の社員はいますか。
  • 新しいメンバーが入ってくる予定はありますか。

まとめ

未経験からのキャリアチェンジで合格を勝ち取るには、

  • 経験不問など要件が緩い求人を見極める
  • 募集要項とのマッチ度を意識してエントリーシートを書く
  • 面接では逆質問で職場の実態を探る

といったポイントが重要です。無事に合格したら、次は上司への報告や異動時期の調整といった「出口戦略」が待っています。出口戦略編で、合格後にどう立ち回ったか、スマートな去り方について解説しています。

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