少子高齢化に伴う人手不足への対策として、2025年4月から「希望者全員が65歳まで働ける」制度が義務化されました。
しかし、現場を知る人間からすると、この制度がもたらす効果には強い疑問符がつきます。なぜなら、現場にはモチベーションを完全に失い、ただ時間を潰すだけの「働かない再雇用おじさん」が大量に生み出されているからです。
本記事では、工場の天井を観察し続けるシニア社員の異常な生態や、彼らがクビにならないJTCの構造的欠陥、そして若手が自分の身を守るための合理的な生存戦略について解説します。
【2025年義務化】再雇用制度のリアル。仕事しないシニア社員の実態
2025年4月からの高年齢者雇用安定法の改正
少子高齢化に伴う人手不足への対策として、2025年4月1日から「希望者全員が65歳まで働ける」ようにすることが企業に完全に義務化されました。
労働人口の減少を補うために、少しでも働ける人間を動員したいという国の思惑は理解できます。ただ、この「希望者全員」という無条件の受け入れこそが、現場に大きな問題を引き起こしているというのが私の意見です。
現場を知る人間からすると、高齢労働者のモチベーションやスキルはまちまちです。
義務化された制度を「上手く」利用して、ただ会社にぶら下がろうとする人も一定数存在します。我々現役世代は、この制度の理不尽な弊害を今後さらに目の当たりにしていくはずです。
働く意欲があるのは6割。残り4割は「完全な給料泥棒」という事実
これまでにいた職場では、再雇用の人は何人かいましたが、全員がモチベーションが高いわけでは全くなく、惰性で留まっている人もいました。
私が知っているサンプル数は5人と若干少なくはあるのですが、その内訳は
- パターンA(1人):会社が残ってくれと頼むレベル
- パターンB(2人):実力はそこそこだったりはするが、超が付くほどまじめに働く人
- パターンC(2人):ゴリサボる人
というように、再雇用と一括りにできない人達でした。
会社が残ってくれと頼むレベルのパターンAの人は、頼まれた本人も誇らしいですし会社としても実力のある人材にはできるだけ長く働いてほしいので、双方にとってメリットがあります。
この人がいないと製品を作れないのでは、と思えるくらいの人でした。こういう人を双方合意の上で長く雇えるようにするための制度であれば、誰も文句はないと思います。
パターンBの人たちも、本人たちが働くのが好きであり、またモチベーションが高いため周りにいい影響を与えます。このパターンも十分に双方にとってプラスになる話です。
問題はパターンCの人たちです。この人たちの生態は本当にひどく、何のために雇用しているんだとただただ不思議な気持ちになります。こういう人たちは周りにも悪影響を与えます。次の章で深堀りしたいと思います。
実録「工場内徘徊再雇用おじさん」の生態
若手の作業を止める迷惑行為。「終わらない雑談」という実害

この人はよく製造現場を徘徊していました。
仕事はやろうと思えばいくらでもあったはずですが、やってなかったですね。
【実害1:業務改善の完全な拒否】
私や同僚がその人が主担当である仕事の手続きについて、あまりに非効率であったため改善してくれと頼んだことがありましたが、跳ね付けてきました。変えなくても時間さえかければ進められる、というのが理由でした。
変更には部署横断の合意形成が必要で、めんどくさかったのだと思います。
【実害2:周囲を巻き込む「終わらない雑談」】
そして「暇」になった時は、製造現場に行き現場の人に話しかけていました。これの良くないのが、自分がサボるだけなら1人分のアウトプットが減るだけですが、他の人も巻き込むことで複数人分のアウトプットを削るところです。
そして再雇用なので年齢が高いということがポイントで、現場の人にとっては「先輩」にあたるんですね。そのため、直接断ったりできずに、しぶしぶ話に付き合うことになります。
全員年下の場合もあり得るので、誰も強く言えなかったりします。
良くない考えですが、現場の人は一緒にサボることも選択肢だったと思います。サボっても共犯の「工場内徘徊再雇用おじさん」はチクったりはしないはずです。ところが、一緒にサボる人はいなかったですね。むしろ、仕事の邪魔になり不満が溜まっているような状況でした。
現役世代の人たちは、少しでもアウトプットを出して給料を稼ぎたいという気持ちが強かったのかもしれません。
「工場内徘徊再雇用おじさん」とは対照的に、みんな真面目でした。
暇つぶしの極致。工場の天井を観察し続ける「虚無の業務」

ある時廊下を歩いていると、「工場内徘徊再雇用おじさん」を見かけました。
何やら天井を見て不思議がっている様子。
ところが自分も気になったので見てみましたが、そこには何も引っ掛かるようなものは無いんですね。ただ天井があるだけ。
。。。
やることが無いと、ここまで来るんですね。暇であることの極致としての「虚無の観察」。
百歩譲って、そこに小さな虫とかがいたのかもしれません。しかし、その虫を時間をかけて観察する意義とは?
これが一部の再雇用の実態です。
送別会で露呈した「末路」。若手の冷めた視線と因果応報
結局、職場に居づらくなったのか再雇用満期までは在籍せずに中途半端なタイミングで退職していきました。
送別会をすることになり、その席で挨拶をすることになったのですが、

○○製品の担当に抜擢されて、こういう苦労がありました。40何年間この会社で働いてきましたが、、
のように話していると、

本当に働いてた?(笑)
のように同僚から情けなくいじられていました。
送別会は会社の公式のイベントではなく、言ってしまえばただの飲み会なわけですが、この人の長いキャリアの締めくくりの場であったはずです。そういう場を、自分のこれまでの行いによって恥をかいて汚してしまったのは、厳しく言うと自業自得であり因果応報の結果なのかもしれません。
ただ、それでも仕事しないのに毎月安定して給料をもらえていたので、本人にとっては勝ちなのかもしれません。
なぜJTCは「働かない再雇用おじさん」を駆除できないのか?
「希望者全員65歳まで」の義務。決定的な解雇理由を与えない厄介な実態
「工場内徘徊再雇用おじさん」のような人を雇用することは企業にとって百害あって一利なしであることは明らかだと思います。では、なぜ企業は再雇用を拒否できないのでしょうか。
理由としては、高年齢者雇用安定法によって「希望者全員を65歳まで継続雇用することが義務」と定められているからです。
法律で定められているので、この部分は仕方ないです。
ただし、例外規定があります。
- 心身の故障
- 著しい勤務不良や規律違反
等の事情に該当すれば再雇用を拒否することができます。
「工場内徘徊再雇用おじさん」が中途半端な時期に退職したのも、ひょっとしたら勤務態度の不良が原因かもしれません。
ただ、基本的にこれらには該当しないと思います。心身に問題がある人は退職して療養するはずですし、勤務態度についても、再雇用を狙う人は「上手く」立ち回るはずです。
一方で、会社側は雇用の条件を変えることができます。この時に賃金を低くすれば、実質的に退職を促すことはできるはずです。ただ、大きく下げるには理由が必要で、「上手く」やっている人たちはそんな隙を与えないのだと思います。
結果的に悪くない条件で再雇用することになり、「工場内徘徊再雇用おじさん」のような人が発生するのではと考えています。
実際に何人も再雇用で働いているのを見ると、現役時代より減るとは言えそれなりに納得のできる金額を提示されているんでしょうね。
【辞めてほしいのが現役世代の場合は企業はどう対処しているか?】
このように、再雇用を「希望」する社員に対して会社は為す術が無く放置するしかないのが実態ですが、現役世代の不要な社員となると話は別です。
厳しい解雇規制とコンプライアンスのため、JTCはマズい社員を無理に追い出すことはしません。その代わり、彼らをただ放置するのではなく、若手エースを引き上げるための相対評価の生贄や、他の部下への見せしめとして合理的に利用します。その残酷な構造については、以下の記事で解説しています。
マニュアル化を怠ったJTCのツケ。「業務の属人化」という病
別の観点ですが、JTCでは仕事の属人化(情報の抱え込み)という問題もあったりします。
例えば、測定機器の調整のノウハウがマニュアル化されておらず、担当者の頭の中にしかない、など。この場合、担当者がいなくなるとうまく測定ができなくなってしまいます。
働かないおじさんを無理やり退職させるとへそを曲げて、こういった属人化したノウハウを引き継がずに辞めていき現役世代が困る可能性があります。それを防ぐために仕方なく条件をあまり落とさずに再雇用しているという面もあるかもしれません。
【そもそもなぜJTCはマニュアル化を怠るのか?】
これには、以下の2つの理由があります。
- 社員側の自己防衛:ノウハウを自分だけのものにし「仕事を属人化させること」が、社内での価値を保つ最強の自己防衛(保身)になる。そのため、積極的にマニュアルを作成する動機が乏しい。
- 会社側の見通しの甘さ:これまでのJTCでは終身雇用が当たり前で今ほど転職も普通ではなかったため、社員が「ずっといる」ことを会社側が見込んでいた。そのため、いざというときのためのマニュアル化という意識が希薄だった。
こういった状況を長年放置したツケとして、「ノウハウを人質に取られた」状態になり、会社側が強気に出られないというわけです。
「働かない再雇用おじさん」から自分のリソース(時間・労力)を守る防衛策
他人の「暇つぶし」に巻き込まれない。徹底して物理的・精神的な距離を置く
もし働かない再雇用おじさんが自分の周りにいた場合、一番警戒すべきは「彼らに巻き込まれて、自分の仕事の効率を下げられること」です。
前述の通り、彼らは暇を持て余すと、意味のない雑談や自分の所掌なのにめんどくさがって依頼を跳ね付けるなど、こちらの作業の手を平気で止めてきます。彼らの「サボり」に付き合うことで自分のアウトプットが低下すれば、評価やキャリアに直結する実害を被ることになります。
彼らには頑張るモチベーションがもうないため、態度を改めることはありません。相手を変えようとするのではなく、物理的・精神的な距離を置き、自分の業務効率を死守することに注力してください。
働かない人間が周囲にいるような「マズい環境」で、他人に自分のリソースを削られないための具体的な生存戦略については、以下の記事で詳しく解説しています。
「いつでも辞められる状態」を自ら作り出す。会社に依存しないための資産形成の重要性
長期的にはこういうマズい環境から物理的に距離を置くのが唯一の正解になります。
会社は彼らを排除することはできません。彼らは定年後も会社にしがみつき、ただ職場の天井を見つめて過ごすような、虚無の消化試合を続けます。
そのような不条理な環境に、自分の人生を巻き込まれないための唯一の防衛策。それは、会社に依存せず自分の足で生きていける状態、つまり「経済的自立(FI)」を達成することです。
まとめ
本記事では、JTCの制度の歪みが生んだ「再雇用おじさん」のリアルな生態について解説しました。
- 義務化された制度を逆手に取り、4割の再雇用者がモチベーションゼロで会社に寄生している
- 暇を持て余し、天井を観察したり、現役世代の作業を邪魔したりして時間を潰している
- 業務の属人化を放置してきたJTCの構造的欠陥が、彼らを駆除できない原因になっている
自分のキャリアの主導権を奪われないためにも、彼らとは徹底して物理的・精神的な距離を置き、自らのキャリアと資産を構築することに注力してください。
【関連記事】
なお、JTCの現場で社員を消耗させるのは、「工場内徘徊再雇用おじさん」だけではありません。部下の陰口ばかり叩く「無類の愚痴好き上司」のようなハズレ上司もいます。彼らから身を守る方法についてはこちらの記事をお読みください。
また、こうした「働かないおじさん」や「ハズレ上司」から逃れて会社でのキャリアを登っていこうとしても、そこで待っているのは「異常な出世競争」です。JTCで出世する人の歪んだ特徴と、報われないレースから降りる決断については以下の記事をご覧ください。